書籍/【ファイナルファンタジーえほん チョコボと空飛ぶ船】

Last-modified: 2022-09-30 (金) 18:28:29

2021年12月16日発売。
チョコボを主人公にしたオリジナルストーリーの絵本作品。
文章は青木和彦氏、絵は板鼻利幸氏が担当している。
FFシリーズというより、チョコボシリーズの絵本化といったほうが正確だろう。もともとチョコボシリーズ自体が絵本的な作風なので、ぴったりな企画。
チョコボシリーズやFFCCでお馴染みのデザイナー・板鼻氏の可愛らしい絵柄が全ページ、フルカラーの水彩画で楽しめる。


僕たちの冒険心、チョコボといっしょに あの青い空の向こうまで!
 
『ファイナルファンタジー』でおなじみのチョコボのぼうけんがえほんになりました。
モンスターにおそわれる町を舞台に、あきらめない発明家のシドと、
なにごとにも立ち向かうチョコボがくり広げる、こころ温まる物語。
さあ、チョコボといっしょに冒険しましょう。
(スクエニストアの商品ページより)


チョコボと仲間たちが空飛ぶ船「飛空艇」をつくりあげ、町を略奪するモンスターたちをこらしめに行くストーリー。
FFシリーズ過去作の小ネタが豊富に盛り込まれている。著者が青木和彦氏ということもあり、FF3からの引用が目立つ。
モンスターたちのボスが炎の魔人「ジン」だったり、氷の洞窟に浮遊石をさがしにいく展開があったり、シドの姿がFF3のそれだったり、
ところどころにブリ虫がいたり、一緒に戦う仲間がFF3の光の戦士を思わせる4人だったり…シリーズのファンならにやりとする要素がたくさんある。

  • つまり基本的には、FFシリーズのファンが小ネタを見つけながら楽しむファンアイテムという立ち位置らしく、
    FFを全然知らない人にも読んでもらおうというつもりはあまり無いようである。
    (ゲームを知らない人もターゲットとするなら、そもそもチョコボが誰で何なのかとか、舞台設定についてもっと説明が必要だろう)

ひとつひとつの場面描写はあっさりしており、深いドラマが描かれているとはいえない。
本来は長い分量のストーリーになる所を、ダイジェストにして読んでいる感覚。
ただ、いくらあっさりでもちょっと気になるのが、チョコボが主人公なのに、存在感が希薄かつ内面が見えない点。
チョコボがセリフを喋らず、何を考え何を感じたのかといった説明もほぼ無いため、最後まで読んでもチョコボのキャラクター性が見えてこない。
チョコボが主人公なら、もう少し主人公らしいキャラ立てが必要な気がするのだが。