KINGDOM HEARTS CHAIN OF MEMORIES

Last-modified: 2023-10-05 (木) 05:52:48

●『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』 2004年11月11日発売 対応機種:GBA
●『キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ』 2007年3月29日発売 対応機種:PS2

略称は「COM」「Re:COM」。Re:COMでは「Chain of Memories」の表記になっている。
主題歌は「」。
 
シリーズ第2作目で「KHI」のエンディング直後の物語。

名前の由来は、本作のキーワードにもなっている記憶の鎖である。


COM

ストーリー

「KHI」のエンディングの後、リク王様を探すための旅に出たソラは十字路で謎の男に出会う。「お前に必要な物がこの先にある。但しそれを手に入れるには、大切な何かを失うことになる。」と言われ、男に導かれた先は謎の場所、「忘却の城」だった。一方闇の世界に残されたリクもソラと同じ場所を訪れていた……。
 
本編の主人公はソラであるが、これをクリアすることでリクが主人公のリク編「Reverse/Rebirth」をプレイすることができる。


忘却の城で起こる、記憶を巡る物語。
謎の少女ナミネとの出会いと、謎の「機関」との闘い。「機関」との決戦はKHIIに持ち越されることになる。
話が進むにつれ、記憶が変化していくソラの様子は、一種のホラーである。


ナンバリングではないので勘違いされやすいが、外伝ではなく本編であり、この作品をプレイしていないと「KHII」のストーリーで一部理解出来ない部分がある。また、後の「Days」や「coded」でも深く関わってくる重要な作品である。


なお、現在入手が少し困難であり、今から購入する人は注意すべし。

システム

ナンバリング以外では挑戦的なシステムにしているKHシリーズの中でもことさら特殊な作品で、プレイヤーの腕にも拠るが、かなり難易度が高い。
ゲームを進めるには全てにおいてカードを必要とし、マップはカードでカスタマイズされ、戦闘では相手を一発殴るだけでも枚数の限られたデッキのカードを消費しなくてはならない。
他のシリーズでは強制エンカウントのエンカウント方式も、今作ではシンボルエンカウントになっている。

  • お陰で、カード一枚の選択が難易度を左右する。特に顕著なのは、マップカード(「大いなる闇」など)やエネミーカード(「シャドウ」など)。

そのため、苦手な人はとことん苦手だが、好きな人は他作品よりもハマったりする。特にソラ編はデッキの組み方一つで戦法や難易度が面白いほど変わる。


リク編はワールド毎にデッキが固定で、自由に編集することは出来ない。
回復系が固定デッキに組み込まれていないこともあって(回復はプライズやランダム出現のカードに頼ることになる)、リク編の方が難易度が高いと感じる人の方が多いように思われるが、その分、操作性はリクの方があらゆる面で上である。また、リク編のみのシステムも多数存在するため、こうすることで両編のバランスを取っているのであろう。


このような特殊なシステムになった理由だが、言わずもがなGBAというハードの特性によるものである。
そもそも当初はKHをGBA向けに出す計画はなかったが、KHIの発売後に開発の元に「GBAでKHを遊びたい」という子供達からの声が予想以上に多く届き、それが開発をスタートさせるきっかけになったという。
しかしハード特性がPS2とまるで異なるGBAではKHIのようなゲーム性にすることは極めて困難で、開発の「いかにGBAでKHらしい戦闘ができるか」という試行錯誤によって辿り着いたのがこのカードバトルであった。
企画の段階から劇中でも重要な要素であるカードを使ったバトルにすることは決まっており、ソラとハートレスが向かい合ってカードを選んで戦うといういかにもRPGらしい戦闘が考えられていたが、「これではKHらしくない」となり、キャラクターを動かしながらカードを選んで戦うというアクション性が高い形式となっていった。

  • アルティマニアに掲載されている企画書を見るとスタッフの試行錯誤の跡が窺える。
  • 実際、「KHらしく複数の敵を同時に表示する」「処理速度を稼ぐため同時に行動する敵を1体に制限する」「敵の数が減ったぶんのゲーム的な駆け引きをカードの数字で表現する」といった課題をカードバトルシステムで見事に解決しており、ハードウェアの壁を乗り越えた作品として知られる。
    (システム/【カードバトル】から引用)

トルネードステップラウドネスなど、今作初登場のハートレスがいる。忘却の城に現れるハートレスはソラやリクの記憶から生まれた幻のはずだが、前作の時点で彼らの姿は確認出来ない。

  • あまり深く考えなくても大丈夫な気もするが…。

3Dのミニゲームであるフリックラッシュは、本作のシステムを元にしていると思われる。

Re:COM

COMのPS2向けリメイク作品。
KHIIFMとの2枚組で「KINGDOM HEARTS II FINAL MIX+」として発売された。
上記の通りユーザーの声を受けてGBAで発売されたCOMであったが、対応機種がKHIと異なるためにプレイしていない人も多かったために制作された。
また、新しいカードやストック技の追加、リク編ではデュエルスピードブレイクといったシステムの追加も行われた。
更に、ソラ編ではラスボスに第三形態が、リク編ではイベントシーンのみだったボス戦が新たに追加された。
 
ちなみに、KHIIFMのクリアデータがないと入手出来ないアイテムが多数ある。

  • 追加されたエネミーカードなどは強力な効果なものが揃っているので、ゲームを少しでも楽に進めたい場合はKHIIFMを先にクリアしておく事をオススメする。

KHIIの後の作品となるため、ゲーム面ではストック技の入力にリアクションコマンドがKHIIから逆輸入される、ゲームモード(難易度選択)やシアターモードの実装、ソラの宝箱を開けるアクションがKHIIのものと同じになっているなど、全体的にKHIIに寄せた作りにされている。
メインキャラクターのモデルについてもKHIIの技術をフィードバックしてKHIからアップグレードされた。以降、KHIのソラやリクが登場する作品(coded、3D)では今作のモデルが使用されている。

  • 特にソラは顔の印象がKHIと異なるのがわかりやすい。

ストーリー面においても、KHIIのストーリーを受けて一部の台詞やストーリーの流れがGBA版と異なっており、KHIIの後に作られたからこそKHIとKHIIをつなぐのに自然な形になっていると言えるだろう。


Re:COMは開発当初、KHIIFMを仕上げるまでに完成させるGBA版のベタ移植の予定であったが、
 
「過去作からモデリングを流用して固定視点でも良いから3DCG化しよう」
  ↓
「でも3Dならカメラも動かせた方が良い」
  ↓
「3Dにしたらカットシーンの演出もしっかりした物に」
  ↓
「じゃあボイスも必要だ」
 
…と、どんどん規模が大きくなっていき、最終的には開発元である大阪チームがKHIIの発売後から取り掛かっていたBbSの開発を一旦中断し、結果的にフルリメイクするほどのクオリティになった。
当初の予定通りRe:COMとKHIIFMがセットになった2枚組として発売されたが、Re:COMがこれほどのものになると最初から分かっていたなら単体で発売してもよかったとディレクター野村氏は語る。そのためか、「こんな大盤振る舞いは二度とやれない」とのこと。
また、FM版は英語音声という名目があるため海外では発売しておらず、海外のプレイヤーに向けてはどうしようか悩んでいるとディレクターは話していたが、結果的に海外ではRe:COM単体で発売されることとなった。


基本的にはGBA版とほぼ同じだが、PS2に移行して操作性が良くなったり、3Dになったため位置取りで敵の攻撃を対処しやすくなったりとゲームバランスはかなり変化している。
プレイヤーキャラの方を向いていない敵は攻撃してこないようになったため、背後から攻撃した場合は敵は反撃できない。そのため、怯み中にカードブレイクで反撃される頻度が大幅に減っている。
この仕様が加わったことにより、特に人型ボスに関してはGBA版よりもかなり難易度が下がっている。
 
しかしながら、GBA版の項に書いてあるようにGBAだからこその特殊なシステムをPS2向けにそのままリメイクした結果、異色ぶりが際立つ形となり、さらにシリーズでも好き嫌いの分かれる作品となったことは否めない。
特にHD化で他タイトルと並ぶようになってからはその傾向は顕著で、「KHIから続けてプレイしたら見た目はKHIでも中身は全くの別物で困惑した」という意見も多い。


イベントムービーは基本的に忘却の城ホールとKHオリジナルワールド(一部を除く)で流れ、ディズニーのワールドはボイスなしでフキダシのセリフのみ。ムービーの画質は荒く、かなりぼやけた感じとなる。

  • 画質が荒く感じるのは、他シリーズと異なり本作のムービーは全てプリレンダリングでの収録であったため。容量を多く使うプリレンダリングのムービー数時間分をDVDの容量に収めるのは相当厳しかったようで、かなり圧縮されたこの画質でもディスクの容量をほとんどいっぱいまで使い切っている。
    • 逆にリアルタイムレンダリングであったKHI,KHIIのムービーと比べて輪郭のジャギーが目立たない、と評価する声も一部ではあるにはあった。時代の流れとハードの進化というものを感じさせる一例である。

KHシリーズで初めて内蔵音源ではなく、録音済みのストリーミングで楽曲が流れた作品でもある。


「KINGDOM HEARTS -HD 1.5 ReMIX-」には、Re:COMのHD版が収録された。対応機種はPS3。
PS3用にリマスターされて遊べるようになっているが、各種カードの絵柄・ボタン表示等、HD化されておらずPS2版のままの部分も多い。何より、戦闘前やストック技前のロード、特定のフレンド技を使ったときに音が飛ぶという欠点もある。

  • KHFMのリマスターが難産であった旨がスタッフより語られているので、開発リソースをRe:COMにあまり割けなかったのかもしれない。

イベントムービーはHD画質になりPS2版より画質はかなり上がった。しかしプリレンダリングなのは変わりないので、キャラクターの輪郭のボヤけ、激しく動くムービーでの粗さ、といった点は改善されていない。
 
KHFMと同様にトロフィー機能が追加された本作だが、半ば趣味の領域ともいえるエネミーカードを初めとした全カード取得が必要になるトロフィーが存在する。運要素に左右される上に膨大な時間が掛かるのは言うまでもないが、最大の問題はゲームクリア時に取得できるトロフィーである。なんとソラ編とリク編の各難易度3つをそれぞれクリアしなければならない。最低6周もしなければプラチナトロフィーは取得出来ないので、集めきるつもりでプレイするのであれば相当な覚悟が必要になる。
音楽については、PS2版の時点でBGMがストリーミング収録であったため、HD版でも基本的にPS2版と同じBGMになっているが、ソラ編最終ボスの楽曲「Lord of the Castle」のみ再収録されて生音になっている。
PS2版でKHIIFMのクリア特典だったカードについては、今作においてはKH1.5に映像作品として収録されているDaysを鑑賞することで入手できるよう変更された。また、そのうちのキーブレードのカードの一部はKHIIに登場するキーブレードからDaysに登場するキーブレードに差し替えられている。


PS4で発売された「KINGDOM HEARTS -HD 1.5+2.5 ReMIX-」にも収録。
ゲーム部分が60fpsになったほか、ほぼ全てのカードの絵柄がHD向けに差し替えられ、ボタン表示等もHD化した。PS3からPS4への変化の度合いとしてはひょっとすると今作が一番大きいかもしれない。
PS3版で問題となっていた音飛びもかなり改善している。
また、上記のゲームクリアに関するトロフィーの問題は、高難易度のモードをクリアすればそれ以下のモードクリアのトロフィーも取得できるようになっている。

余談

GBAソフトの中でも群を抜いてクオリティが高い作品であり、CGムービーやフルで流れる主題歌など、他のゲームではそう見られない演出を多く使用している。しかし、戦闘中に処理落ちが度々起こり、スペックの限界も見えてしまう。
GBAでも後期の作品となり、GBAのROMとしては最大の容量の256メガビット(=32メガバイト)のものを使用している。今となっては小さく感じる容量だが、ムービーや主題歌はこの容量に当時の最新の圧縮技術を多用して収録できたものである。
特に、ムービーはPS2の制作環境で作ったものをGBA用に変換して流していたが、圧縮によってキャラクターの質感なども変化してしまうため、おかしく見えないようコマ単位で調整していったという。また、当時発売前で開発用として提供を受けていたニンテンドーDSでもチェックを行っていた。
 
また、恐らくシリーズで一番リメイクしてシナリオ上の設定が変わったゲームであろう。

関連項目