KINGDOM HEARTS II

Last-modified: 2023-12-25 (月) 15:33:57

●『キングダム ハーツII』 2005年12月22日発売 対応機種:PS2
●『キングダム ハーツII ファイナル ミックス』 2007年3月29日発売 対応機種:PS2
略称は「KH2」「KHII」「KH2FM」「KHIIFM」等。
主題歌は「Passion」。
 
KHFM」を除くと第3作目であり、前作である「COM」終了時から約1年後の物語。


KHII

ストーリー

トワイライトタウンで残り少ない夏休みを過ごしていたロクサスの周りで、不可解な出来事が起こり始める。そして彼がその真実を知った時、彼の夏休みは終わりを告げる……。
一方トワイライトタウンの屋敷という記憶に無い場所で目覚めたソラ王様に導かれ、イェン・シッドから新たな脅威「ノーバディ」について知らされる。
友達を探し、新たな脅威から世界を守るためソラはドナルドグーフィーと共にまた旅立つのだが……。
 
主人公はソラであるが、プロローグではロクサスを使用することになる。
何故ロクサスをプレイするのかは物語の中で明かされる。


ジミニー曰く、離れ離れになった心を戻す旅。
KHIのシークレットムービーに出ていたロクサスが登場。主人公はソラのはずなのに、彼視点からストーリーが始まり、プレイヤーの多くが困惑し、後に彼の物語に涙を誘われた。

XIII機関との闘いが本格化。
新たな敵にノーバディが登場。ハートレスの対の存在としてだけでなく、登場人物として深く関わっていく。


ディズニー作品をモチーフとしたワールドは、KHIIからの新ワールドとKHIから続投したワールドでほぼ半々。
新ワールドは実写作品である「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「トロン」、モノクロ映画の「蒸気船ウィリー」など、その登場にサプライズを伴う作品も含まれている。
続投したワールドについても舞台はほとんど一新され、KHIのプレイ後でも新鮮な気持ちで冒険できる。


一応前作のCOMをプレイしていなくとも大体のストーリーを理解できるが、やはり一部理解できない部分がある。

  • OPに登場する謎のピンク髪
  • ソラと関わりのある人物がソラの事を忘れていた理由。
  • 何故ソラが眠っていたのか(ストーリー中ナミネによる補足があるが若干不十分)。
  • 「ナミネにお礼を言う」の意味。
  • XIII機関なのに、開始時点で半分近く倒されていて、8人しかいないこと。etc……。

そのためか、後にKHIIのFM版であるKHIIFMと、COMのリメイクであるRe:COMがセットになった「キングダム ハーツII ファイナル ミックス+」が発売された。


オリジナルキャラクターが全面に出たストーリーが中心になり、さらに一部のFFキャラクター達が目立った影響でディズニー色が薄くなってしまい、ディズニーを切っ掛けにプレイしていたファンからは不評の声もある。

  • 実際にはディズニー作品を基にしたワールド数はシリーズでも最多(しかもストーリーはそれぞれ2周分ある)なのだが、KHI並みにメインシナリオと上手く絡んでいるワールドがビーストキャッスルスペース・パラノイド位しかなく、大多数は原作のストーリーをそのままなぞったようなものである。それを各ステージ2周分やらされるので、単なるボリュームの水増しではないか、との批判も多い。
    • ワールドの2周目は、KHIにてカイリ救出後にもう一度各ワールドを探索し直す流れとなっていたため、それならば再訪時にもストーリーがあったほうがいいのではないか、という発想から来たもの。上記の批判はそれが裏目に出てしまったことによるのは否めないが、ワールドのストーリーが多く楽しめるという好意的な意見も当然のことながらあるため、ここは賛否両論といったところ。
  • もちろん、原作の再現度の高さを評価するファンも少なからずいる。

肝心のメインシナリオの内容に関しても、ストーリー本筋に矛盾点はないものの、一部のキャラの言動がやや唐突に感じられたり、一貫性がないようにも受け取られるシーンがあるため、賛否両論となっている。
特にKHのストーリーを期待していたファンからも、ディズニーワールドでメインシナリオがほぼ進行しないことで、KHIIとしてのメインストーリーは序盤が終わると終盤までほとんど動きがないのもあり、さらに発売前のインタビューで大ボリュームのシナリオであると謳っていたことから、肩透かしだったという意見は根強い。

  • PVや発売前情報で期待が高まりすぎた、という側面も否定は出来ない。

また、FFキャラにおいても一部キャラの扱いが悪いことと、逆に優遇されすぎているキャラがいる事がFFファンからの顰蹙を買っている。

  • 詳細は該当キャラクターの項を参照。

 
FM版でも追加ストーリーはオリジナルキャラがメイン。「ディズニーいらないんじゃない?」「FFはもういい」と言われてしまうきっかけにもなってしまった。

  • KHI以降のシナリオに、既存のディズニーキャラを深く絡ませないで欲しいとのお願いがディズニー側からあったためという話がある。情報源は不明なため、あくまで噂程度である。

システム

全体的なシステムはKHIをベースに大きくブラッシュアップされ、洗練されている。
アクション面ではカメラワークの変更、ソラのコンボモーションや性能の大幅な向上により爽快感が増し、さらに多数の新システムによってKHIから進化したスタイリッシュなアクションでバトルを楽しめる。
システム面では今作からナビマップや宝箱のリストが表示され、進行と共に画面左上にインフォメーションが出て次の目標を確認できるようになったことで、プレイヤーに親切な設計になった。
また、各地にスケボーが置いてあり、移動がスピーディーになった。(これ以降の作品はヘイストで移動速度を上げられるようになっている作品もある)


アクション性はかなり高い部類に入る。特にシリーズの売りである爽快感は歴代随一。
アクション面での最大の特徴は何と言ってもリアクションコマンド
△ボタン一つでハイスピード、かつ爽快感溢れるアクションを実現する正にKHアクション。
これのおかげで魅せプレイのようなアクションが簡単にできるようになり、非常に戦闘が楽しいものとなった。
戦闘が単調になりがち、△連打ゲーという批判もあるが、様々なアクションを織り交ぜることで新しい発見を出来るようにもなっている。
 
「ボタン一つで様々な行動を起こせる」というコンセプトは、後にスクウェアエニックスから発売された対戦型コマンドアクションゲーム、「ディシディア ファイナルファンタジー」(略称「DFF」)に少なからず影響を与えており、作中でのアクションである壁走りやレール上の滑走にはすべて△ボタンを使用する。

  • リアクションコマンド以外にも、KHシリーズの影響と思われる演出が多々ある。(戦闘終了時に画面がスローになる等)

同じく新システムであるフォームチェンジもバトル面での爽快感や無双感に大きく寄与している。
ソラのステータスに新設された「ドライヴゲージ」を消費し、特定の仲間の力を借りる(=その仲間の姿が一時的に消える)ことで通常とは違うフォームに変身し、ソラの性能を時限強化して戦える。
フォームは全部で5つあり(FM版でさらに1つ追加)、基本的にストーリーの進行と共に解禁されていく。
召喚魔法についても今作ではこのドライヴゲージを消費することで使用できる。
 
MP関連のシステムはKHIから一新され、MPチャージが実装された。
MPを使い切ると一定時間後に全回復するという、当時のゲームではあまり見られなかったシステムで、今作の発売後にはこのMPチャージシステムにインスパイアされたと推測されるゲームも見受けられた。
HPゲージ、MPゲージ、ドライヴゲージの3つを管理しながら戦い、かつゲージ同士が影響を及ぼし合う(MPチャージ中はドライヴゲージの回復が早く、溜まったドライヴゲージを消費してフォームチェンジするとHPとMPが全回復するなど)完成度の高いシステムも今作のバトルの評価を高める一因である。


連携技リフレクなど、ゲームバランスを一変させかねないほどの強力な戦法も存在する。
簡単な操作で爽快なアクションが楽しめる一方で、難易度が低い、歯ごたえが無いといった批判もされやすい。
ただし上記のような要素に一切頼らずに戦うことも可能であり、その辺りの遊び方はプレイヤーの自由。
また他シリーズに無い特徴として魔法でコンボができる、というものがある。

  • ウィズダムフォーム実装に伴う救済措置だと思われるが、これを利用することで魔法を利用し攻撃を回避する、という芸当すら可能になるなど戦略の幅はますます広がった。

各ワールドのギミック要素がほとんどなく(KHIで迷いやすいとの意見が多かったのだろうか)、KHI並みのものを期待していた層からは不評。
KHIはディズニーランドのトゥーンタウンのように触って反応がある楽しさに影響されたと開発者が語っており、マップで様々なオブジェクトを調べたり叩いたりすることで反応があったが、今作ではそういった要素はなくはないものの大幅に減少している。
マップについてはディズニー映画の再現度は相変わらず凄まじいが、KHIのようにジャンプアクションを駆使しないと進めないマップや謎解きの必要なマップ、複雑な構成のマップはなくなった。

  • これについては簡易なマップにすることでバトルに集中して楽しめるようにするため、というスタッフの意図もある。

KHIIFM

前作のファイナルミックス版同様、様々な追加要素や変更点があり、言語を全て英語ボイスに吹き替えた完全版。
KHIIFMに加え、COMのリメイク版であるRe:COMの二つのゲームがセットになった『キングダム ハーツII ファイナル ミックス+』(KHIIFM+)という一本のパッケージで発売された。


本編中の追加ボス・追加ムービーや、裏ボスとして再現データのXIII機関・留まりし思念の追加、最高難易度クリティカルモードの実装、新ダンジョン「追憶の洞」、新フォームのリミットフォームXIIIキノコ、武器とアビリティの追加など、数多くの追加要素を含んでいる。
KHFMと同じく、一部のハートレスのカラーリングもオリジナル版とは異なる。
また、初めてシアターモードが実装された。ゲーム中の音声は英語だが、Re:COMのリク編のクリアデータがあるとシアターモードでは英語と日本語の両方の音声が聞ける。
ただしオープニングとエンディングは英語音声のみ、イベント中のリップシンク(唇の動き)は英語だけとなり、またFM版の追加イベントは日本語の音声とリップシンクのみとなる。
 
上記の様に、同梱のRe:COMだけでなく、「KHIIとKHIIFMは全くの別物」と考えるプレイヤーがいるほど追加要素が多いため、今からPS2版を購入するという人には、KHIIFM+をお薦めする。(勿論プレイ中も日本語で聞きたい、という人にはKHIIをお薦めする。)

ちなみにこのKHIIFM+だが、ディレクター曰く「こんな大盤振る舞いは二度とやれない」とのこと。
まぁ普通に市販できるレベルのおまけとセットで無印とほとんど変わらない定価で発売したのだから、こんなことを言いたくなるのもある意味当然ではある。


KHIIはヌルゲーと言われることも多かったが、FM版でその評価は覆った。
最高難易度であるクリティカルモードが追加され、さらにそれをLv1のまま進めるという高難易度を極めた遊び方が用意され、また高難度ダンジョンや数々の個性的な強ボスとの戦いもあり、歯ごたえを求めるプレイヤーでも十分に楽しめる内容となっている。
ボタン連打などの単純操作ではなくプレイヤースキルを上げなければ打開できないような戦闘も多く、また作業的な戦闘でもなく、プレイヤーをダレさせない絶妙なバランス設計になっている。
そのため「ゲームバランスはシリーズ中最高」とも言われ、「アクション面はKHIIFMが一番好き」というファンは非常に多い。雑誌ファミ通の企画での読者アンケートでも高く評価されていた。


「マップが平坦」という声に応えてのギミック要素たっぷりの追加ダンジョン、「敵が弱い」という声に応えてのソラがLv99となった後でも倒すのに苦労する追加ボスの多数追加など、KHIIでファンからの不評が多かった部分を改善する追加要素も多く、KHIIでは活かしきれなかったシステムの完成度がKHIIFMでやっと陽の目を見たと言え、ひいてはKHIIというゲームの評価を上げることとなった。
COMで消えたメンバーも含むXIII機関と戦えるようになった事、荒野に佇む謎の鎧という続編に関わるキャラクターの登場など、シリーズのファンなら単純に嬉しい、ワクワクできる要素の追加も大きいだろう。


「キングダム ハーツ -HD 2.5 リミックス-」にはHDリマスター版が収録。KHIIFMをベースにしながら音声は日本語となる。
KHFMはリマスターに際してKHII以降の作品に寄せる形でリマスターが行われたが、今作については完成度の高さからシステムに手を入れる必要はないと判断され、リマスターの開発ソースはほぼ全てがHD化に向けた徹底的なテクスチャの描き直しに注力されている。
また、ゲーム中の音声は日本語だが、シアターモードではPS2版と同様に日本語と英語両方の音声が収録され、今作ではリップシンクも両方のものが収録された。さらにFM版の追加イベントも新たに英語音声での収録が行われている。
ただしディスクの読み取り速度の関係上、ロード時間が全体的にPS2版よりかなり長くなってしまっている。特にフォームチェンジのロードは致命的で、PS2版ではフォームチェンジのロードが終わる頃にちょうど相手に追撃をかけられたが、今作は逆にフォームチェンジが終わる頃に敵から反撃を受ける有様で、どうにかできなかったのかと苦言を呈する声も多かった。

  • ロード時間の問題なので、フォームチェンジ使用後にポーズをかけてロードが終わるまで待つという工夫をすれば乗り切れるが、何にせよバトルのテンポは悪くなってしまう。

また、ゼムナス最終戦(本編・再現データ両方)にて、ソラを掴んで空中に放り投げた後のリアクションコマンドが表示されないことがあり、攻撃を回避できない不具合がある。アップデートが行われておらず、この不具合は解消されていないので注意。

  • 表示される場合とされない場合がまちまちで安定せず、ダメージを受けないようにするにはリフレクを使うくらいしか選択肢がない。ボス戦のノーダメージクリアや再現データのスピードラン・魅せプレイはKHIIFMの人気コンテンツであり、それを楽しみにしていたプレイヤーからは当然不満の声が多かった。

「キングダム ハーツ -HD 1.5+2.5 リミックス-」にも収録。
ハードがPS3からPS4になることでゲームプレイ部分が30fpsから60fpsに向上し、滑らかな画質で遊べるようになった。
また、ディスクから直接ロードしていたPS3版と異なり、今作はHDDにインストールされてそこからロードされるため、結果PS3はおろかPS2版を超えた爆速ロードという恩恵がもたらされた。
その一方、60fps化の弊害でPS2版やPS3版と異なる挙動がバトル中に現れるようになってしまった。ロードについては改善されてもバトル面が劣化してしまうという一進一退についてはファンから不評が相次いだ。

  • 具体的には、ジャンプの高度が下がる、エアスライドの移動距離が短くなる、アクセル戦で受けるスリップダメージの速度が上昇するなど。

これらの挙動についてはアップデートでそのほとんどが修正され、ようやく完全版になったと言える。

  • 上記のゼムナス戦のリアクションコマンドも当初はそのままだったがアップデートで修正されている。

余談

発売前にはディレクターの野村氏から「KHIとCOMの謎は全て解ける」「KHIから続いてきたソラの旅はここで終わる」といった発言があり、実際に謎のほとんどが解けてソラの旅も一段落となったが、新たに発生した謎や布石によって結果的にはシリーズのさらなる広がりを予感させるタイトルとなった。
 
またKHIIFM+が発売されたのは後継機であるPS3の発売後となり、スクウェア・エニックスが新作を含んで開発したゲームとしてはPS2最後のタイトルとなった(KHIIFM+以降にも完全版やアペンドディスク等は発売されている)。

関連項目