運命?

Last-modified: 2023-06-24 (土) 19:19:28

概要

『ヴァルキリープロファイル』の登場人物「ベリナス」の台詞が元ネタ。
神によって定められた運命に従って生きるのが生物だと、従者のアサカに言い聞かせた後に続く、自問自答の台詞である。

非常に真面目なシーンなのだが、きれぼし脳界隈では「運命」或いは使命や宿命等の似た言葉が出ると、「○○?」と、該当したコメントが流れる。
更に「運命だというのか!」「運命の賜物なのか!?」と続くことも。

因みにベリナスは「タエエエエエエエエ!」という掛け声もネタとして有名で、こちらの方が一般的に認知されている。

真面目な解説

発言の経緯は先掲の動画で分かるものの、元々ヴァルキリープロファイルは世界観の説明が最小限かつ断片的なので、一応文章としてまとめておく。

ベリナスイベントのネタバレ注意

ジェラベルンの衛星都市・ラッセンの貴族として生まれたベリナス。
しかし年月が経ち、父が戦死し、マリア(老齢の召使い)も死んだ頃、妻があまりにも異様な状態での変死を遂げる。
屋敷に残されたのはベリナスと、彼が幼い頃に拾われ、そのまま彼の召使いとして仕える倭人の子・阿沙加の2人のみであった。

阿沙加だけで屋敷の雑務をさせるのは大変だと考え、ベリナスは新しい召使いを雇う為、奴隷市場へと行く。
だが、元は奴隷として異国に売られていた阿沙加にとって、同じ奴隷達の中から新しい召使いを「選ぶ」ことはあまりにも苦しいことであった。
現実問題として人手は足りていない。加えてベリナスには分からない異国の言葉も知る阿沙加は、誰が召使いに相応しいのかを知るのに必要であった。
ベリナスは優しいから、選ばれた奴隷は幸せだろう。しかし、選ばれなかった子は一体どうなるのか?

その心中を聞き、ベリナスはこう答えた。
「花ならいいのか? 召し使いを選ぶのは、花を摘むのとどう違うんだ」
そして阿沙加が摘んだ花を彼女の髪に挿し、
「こうなることが、この花の運命だったんだ」
と言った。

しかし一方で、その返しに何よりも納得がいっていなかったのは、他でもないベリナス自身であった。

運命?妻やマリアが死んだのも運命というのか?」
「父や多くの仲間が戦死したのも運命といえるのか?」
「自分が今ここにいるのも運命の賜物なのか?」
「阿沙加と出会ったのも―――――!!」

その夜、ベリナスが床につくと、家に謎の死霊が現れる。
咄嗟に身を起こすと、その死霊を退ける為に来たのであろう、戦乙女・ヴァルキリーの姿があった。
妻の不審な死は、ベリナスと阿沙加の親しい関係に嫉妬した妻が不死者と交わした契約、つまり2人にかけた『呪い』の代償であったのだ。
「娘が危ない」そのヴァルキリーの警告にベリナスは駆け出すが……既に阿沙加は不死者・エルダーヴァンパイアにより殺されていた。

「お願いだ、彼女を助けてくれ!」
阿沙加の亡骸を抱き、ベリナスはヴァルキリーに叫んだ。しかし、ヴァルキリーはこう言い放つ。
「もはや手遅れだ。何者も、運命に逆らうことなどできはしない」

あまりにも救いのない結末、そして自身が阿沙加を宥める為に使った言葉の残酷さ。
ベリナスは感情を抑えきれず、ついに叫ぶのであった。

「……運命だと? そんなもので、全て割り切れるものか!」

ヴァルキリーはただ1つ、道を示す。
換魂の法、ベリナスが阿沙加の身代わりとして魂を捧げれば、阿沙加を生き返らせることができると。
こうして阿沙加は蘇り、ベリナスは来たるべき世界の終末『ラグナロク』に戦う者、エインフェリアとなるのであった。

ベリナスのイベントは一応任意イベントではあるのだが、最序盤で多くのプレイヤーが起こすであろうイベント*1でもあるため、この流れは多くのプレイヤーの印象に残ったことであろう。

加えて、実はこのイベントはヴァルキリープロファイルという作品全体に対する大きな伏線とも読み取れるメッセージとなっている。

作品全体のネタバレ注意

イベント中でベリナスに「何者も、運命に逆らうことなどできはしない」と言い放ったレナス(ヴァルキリー)であったが、実はこの「運命に逆らう」ことこそ、レナスのその後を暗示するキーワードであり、ひいては本作のベストエンド(Aエンド)に向かう上での物語的な伏線となっている。
(一方で行動としては時に運命に従う決断が必須フラグであったりするので、本作のベストエンドを(ノーヒントで)迎える条件の難解さが伺える)
ゲーム中には明確に両者を関連付けられるような描写は存在しないが、土方悠による漫画版等では、ベリナスイベントを終えて明らかにレナス自身何かが変化したことを感じ取る描写が追加されている。

ボイスパートでの中田和宏氏の迫真過ぎる演技で良い意味でも面白い意味でもネタになりがちだが、実はシリアスな意味でも非常に重要なワードなのである。


*1 チャプター1が開始してようやく能動的な探索が出来るようになった直後に発生し易い(=初心者はそのままイベントに移行しやすいようになっている)上、同時期に仲間になるラウリィが序盤ではパッとしないこともあって、あらゆる面で有用なベリナスは縛りプレイ以外ではまず間違いなく仲間にすると思われる。