弓使い サマンサ【1】
「剣を捨ててください。森の中では、貴方に勝ち目はありません」 彼女の声は木々の向こう側から聞こえる。しかし、その姿を目で捉えることはできなかった。 |
弓使い サマンサ【2】
「私の名前は、サマンサといいます。弓くらいしか、取り柄がありません」 サマンサはそう言って、恥ずかしそうに目を伏せた。 |
弓使い サマンサ【3】
「風が出てきましたね。夜には雨が降るかも」 風に揺れる木々の葉を見て、サマンサはつぶやいた。おそらく、その予想がずれることはないだろう。 |
弓使い サマンサ【4】
「ふっ!!」 気合いと共に放たれた矢は、美しい放物線を描く。そして、豆粒ほどの大きさにしか見えない標的の胸に吸い込まれた。 |