道化師 ドレイド【1】
「聖かと思えば邪、陽かと思えば陰。世界とは、そのようなものでございますよ」 道化師は歌うように告げる。白塗りの顔の中で、真っ赤な唇が生き物のように蠢いた。 |
道化師 ドレイド【2】
「名前でございますか? 道化にとって名前など無意味ですが……ドレイド、と申します。今この時は、ね」 道化師はそう告げると、闇の中に姿を消した。 |
道化師 ドレイド【3】
「道化を切ることなど叶いませぬ。己の影を切ることができないように」 突き出される剣をひらりひらりとかわしながら、道化師はあざけりの笑いを浮かべた。 |
道化師 ドレイド【4】
「死とは解放。生とは閉塞。貴方は何のために生きるのです?」 道化の言葉に耳を貸してはならない。その甘美な響きの向こうには、果てない闇が広がっている。 |