賢者 コスモス【1】
「賢者なんてとんでもない。わたくしは、ただの読書好きな女です」 コスモスは口に手を当てて笑った。その動作一つ一つに上品さが感じられる。 |
賢者 コスモス【2】
「そんなに持ち上げても、なにも差し上げられませんの」 相変わらずコスモスはその魔力を見せようとしない。ただその目には、抑えきれない知性の輝きが見える。 |
賢者 コスモス【3】
「あなた方は思い違いをしております。どう魔法を使うか、ではなく魔法を使わずどうするか、が大事なのです」 そういうコスモスの眼差しは鋭かった。 |
賢者 コスモス【4】
「……やむを得ません」 コスモスは、手にした錫杖でトンッと地面を叩いた。その瞬間、敵の姿がかき消える。彼女が何をしたのか、誰にも理解することはできなかった。 |