【十刃】ガガ【1】
「なにを見ていた、それでも見張りか!」 天使軍の物見やぐらにガガの厳しい声がとんだ。悪魔軍の動きを見張るのが役目の新兵が、敵陣の動きを見逃したのだ。居眠りをしていたことが原因だった。 |
【十刃】ガガ【2】
「敵が陣を変えるときこそ、追撃の好機だったのだ。教えたはずだな?」 厳しく詰問するガガだが、新兵の顔が疲れ果てていることに気づいた。これはろくに休んでいないのではないだろうか? 見張り番は交代で行う仕事、本来ならこうなるはずもない。 |
【十刃】ガガ【3】
「新兵に見張りを押し付け続けたのは、あなたか」 ガガは熟練の天使兵に尋ねた。今でこそ階級はガガのほうが上だが、ガガが新兵だったときから戦場で名を上げ続けている歴戦の勇士だ。大きな実力を備えた彼に意見をするなど、将軍たちでさえできないことだった。 |
【十刃】ガガ【4】
「勲章の数など聞いてはいない! 独房に入ってもらう!」 ガガは恐れることなく、先輩である兵士を一喝した。いかに武勇や実績があろうとも、軍紀を乱すものは許さない。陰では仲間たちに恐れられていることを知っているガガだが、それでよいのだと自分に言い聞かせた。 |