【邪騎士】アグラヴェイン【1】
「隊長どの! お勤め、お疲れさまでございます!」 所属する部隊の隊長の姿を見つけた瞬間、アグラヴェインは背筋をのばし敬礼をした。まだまだ駆け出しの騎士。気を張っていなければ、隊長と顔をあわせるたびに、毎回ひとつかふたつはどやされる。 |
【邪騎士】アグラヴェイン【2】
「目標ですか? 一人前の騎士になることであります!」 隊長に今の目標をたずねられ、アグラヴェインはそう答えた。本当は、いつか総督になって国王のために尽くしたいという夢がある。しかし今、そんな胸の内を明かしたら、盛大に笑われてしまうだろう。 |
【邪騎士】アグラヴェイン【3】
「まずは半人前に、ですか……心得ます!」 かなり控えめに申告したつもりの目標だったが、それでも過分だと隊長に叱られてしまった。厳しいが、実際に至らないところが多すぎるので言い返せない。 |
【邪騎士】アグラヴェイン【4】
「ありがとうございます! 光栄です! 隊長どの!」 返事だけは一人前になったと言葉を残して、隊長は立ち去った。皮肉ではあるだろうが、それでも、初めてほめられたことには変わりない。隊長の背中に敬礼を向けながら、一歩一歩夢へ向かって歩んでいこうとアグラヴェインは自らに誓うのだった。 |