アイリス【1】
「敵に我らが白銀の刃の切れ味を教えてやれ!」 劣勢な状況に慄く軍勢の中で、アイリスの凛とした声が響く。戦場で最も深い傷をつくるのは剣ではなく恐怖だ。それを知るアイリスは、必死に味方を鼓舞しようとしていた。 |
アイリス【2】
「私に続け!裏街道を抜け、敵軍の後背を突く!」 それは大きな賭けだった。失敗すれば、敵陣の真ん中に躍り出ることになる。だが、アイリスの兵士たちは咆哮をあげて彼女に従った。全兵士の命を両肩に乗せ、アイリスは走り出した。 |
アイリス【3】
「没落貴族の娘に従ってくれたこと、心から礼を言う。私は諸君らを、必ず故郷に帰してみせる!」 アイリスの狙いは見事に的中した。油断していた敵戦列の背後に回り込み、大打撃を与えることができた。こうして、彼女の初陣は終わった。 |
アイリス【4】
「みんな、本当によくやってくれた」 いつまでも終わらない勝鬨の中で、アイリスはひとりひとりをねぎらった。その場にいるすべての兵が、彼女を優秀な指揮官だと認め、自分の主に相応しいと感じた。彼らが大陸全土に名を轟かせる騎士団となる日はそう遠くない。 |