アラジン【1】
「願いを言え、どんな願いも三つだけかなえてやろう」 ランプを擦ると魔人が姿をあらわした。アラジンは魔人を前に、己の願いを語る。人間界、地獄の世界、天上の世界、この三つを我が手にしたい、と。 |
アラジン【2】
「なんと欲深い女だ、骨が折れる」 アラジンが望んだのは、魔人にも想定外の大きな願いである。今までの者はせいぜい富や、恋の成就、病の治療を願うくらいだったのだ。とはいえ、引き受けると言ってしまった以上、願いはかなえねばならない。 |
アラジン【3】
「どうだ、これだけ兵士がいれば人間界くらいは征服できるだろう」 魔人は土をこねて軍団を作り上げた。これを見せれば、アラジンは魔人の力の偉大さを認め、人間たちは震えあがることだろう。 |
アラジン【4】
「私は、時代遅れなのか……」 魔人がランプの中で眠っている間に、文明はかなり発展していた。出撃した魔人の軍団は、近代兵器を持つ兵士に散々に打ち破られてしまった。アラジンに失望の表情を向けられ、肩を落とす魔人。三つの世界の征服に出る前に、まずは魔人の傷ついた心をいやさねばならないだろう。 |