ガイ・ボルグ【1】
「私がいる限り、この門は通さない」 誰もが知る大きな二つの国の間に、知る人も少ない小さな国がある。この小さな国の質素な王宮の門をひとりの女兵士が守っていた。人々は彼女をガイ・ボルグと呼んだ。 |
ガイ・ボルグ【2】
「いかに金や言葉を尽くそうとも、この門を離れるつもりはない」 両隣の大国は、ガイ・ボルグを自らの配下に入れようと毎日、さまざまな工作を仕掛けてきた。だがガイ・ボルグは一向に心をなびかせない。 |
ガイ・ボルグ【3】
「戦をするつもりなら、私は命を捨ててでも祖国を守る」 大国から見ればこんな小さな国など攻め滅ぼすことは造作もないことだった。だが、ガイ・ボルグは一騎当千の槍使い。心服させれば大国間の戦争でも有利になる。 |
ガイ・ボルグ
「祖国と王を守る事が、生きる理由なのだ」 今や大国にとって、最も価値あるものはガイ・ボルグだった。彼女を奪い合い、にらみ合いを続けることで大国間の平和が保たれているのだ。己の体ひとつによって、幾百万の命を戦火から守っていることを、ガイ・ボルグ自身はまだ知らない。 |