ケサル【1】
「この国のために死ぬと誓った気持ちに、嘘はない」 ケサルは王族の子として生まれたが、その人生は王が歩むべきものとはかけ離れていた。生まれてすぐに政争に巻き込まれた彼は、命を守るために身分を隠されて地方へと里子に出されたのである。 |
ケサル【2】
「王座に興味があるわけではない。飢えた民を放っておくことができないだけだ」 ケサルが王都に戻ってきたのは、彼が青年になってからだった。王国は隣国からの攻撃により壊滅的な被害を受けていた。国の緊急事態に名乗りを上げたのが、ケサルたち義勇軍だった。 |
ケサル【3】
「私はこの国を愛している。だからこそ、命を懸けて戦うのだ」 ケサルには不思議な力があった。彼は神がかった剣術を身に着けていたわけでも、屈強な肉体を持っていたわけでもない。だが、その言葉と行動は人を鼓舞する力に満ちていた。彼の気高き理想と泥臭い戦いには誰もが魅了された。 |
ケサル
「私に王の器はないが、国民が支えてくれるのならば、この身を賭そう」 王国を救った英雄と、断絶していた王家の血筋。その二つが同時に現れ、誰もが次王ケサルを望んだ。やがて新たなる災禍がこの国を覆い凶刃に倒れるその時まで、彼は英雄であり、王であった。 |