タマル【1】
「王女なのはヒミツなの、タマルって呼んで」 街角でいつも一緒に遊んでいた少年たちに、王族であることがばれてしまった時、タマルはそう告げてウインクをした。王族の威光ではなく、その魅力に対して、少年たちは従わざるをえなかった。 |
タマル【2】
「私と引き分けるなんてなかなかね、勉強すれば軍師になれるわ」 将棋に似たゲームで一緒に遊んだ少年を、タマルはほめた。この少年は、タマルが王族であることをまだ知らない。ゆえに、手加減などしなかったのだ。 |
タマル【3】
「あなたは未来の将軍ね。もちろん、今すぐ採用というわけにはいかないけれど。……まずは兵隊さんからがんばって」 タマルにチャンバラで挑みかかってきた少年は、タマルが王族であることを知っていた。腕力ではなく、物怖じしない度胸に、タマルは目をつけたのだ。 |
タマル【4】
「私、あんまり期待されていないのよ、だからテキトーなの」 王族が庶民の子と遊んで大丈夫なのかと問われ、屈託なくほほえむタマル。この時、ともに遊んだ少年たちが、のちの女王・タマルの手となり足となり、国を繁栄に導くことを、今はまだ、タマルを含め誰も知らないのだった。 |