テュルフィング【1】
「姫、どうかここでお待ちを」 旅の途中、テュルフィングはふいに足を止めた。風上から血と毒と鉄の入り混じったにおいが漂ってくる。姫君を狙う暗殺団のにおいだ。 |
テュルフィング【2】
「みくびるな! 金貨を何万枚積まれようと、誇りを売るものか!」 物陰に潜んでいた暗殺団の長を見つけたテュルフィング。暗殺者の長は、金銭による交渉を持ちかけてきた。テュルフィングは正規の騎士ではなく、やとわれた衛兵部隊の長。ならば、金で姫君を売り渡すはずだと踏んだらしい。 |
テュルフィング【3】
「姫! 動いてはいけないと申し上げましたのに!」 おてんば盛りの姫君が、護衛の目を盗んでテュルフィングのもとへ来てしまった。姫君にナイフを投げつける暗殺団の長。テュルフィングはそれを自らの肉体で受け止めた。 |
テュルフィング【4】
「私を騎士に? もったいないお言葉でございます」 傷を負いながらも暗殺団を討伐したテュルフィング。姫君は自分が即位したら、必ず騎士に取り立てると約束してくれた。姫君はまだ幼い。約束が果たされるのはまだまだ先のことになりそうだ。それでも、テュルフィングの胸には新たな誇りが生まれるのだった。 |