プロキオン【1】
「上手にキャッチできたら、お肉をあげますからね」 プロキオンは軍用犬のカリスマトレ-ナ-である。日々、犬たちに楽しく訓練を施している。今日は、預かりたての新しい子犬たちにキャッチの練習をさせていた。 |
プロキオン【2】
「わあ、じょうず! でも、ごめんなさいね。アナタじゃないのよ」 プロキオンが投げた訓練用のディスクを、犬が身をひねりながら軽やかにキャッチする。しかし、キャッチをしたのは訓練中の犬ではなく前から訓練していた別の犬だった。プロキオンが新しい子にばかり構うので、自分も注目されたかったのだろう。 |
プロキオン【3】
「あとでキミたちとも遊んであげるから、おとなしくしていてね?」 本当なら一匹ずつ丁寧に育ててやりたいのだが、トレーナーとして有名になってからはそうもいかなくなっている。あっちの子を構えば、こっちの子が退屈し、といった具合なのだ。みんなを公平に扱うのは一苦労である。 |
プロキオン【4】
「ず-っと、こうやって一緒にいられればいいのにね......」 訓練が終われば、この子たちは戦場に向かわねばならない。不器用な子、いう事を聞かない子は、そのぶん長く一緒にいられるから余計に愛着が湧いてしまう。それでも、いつかは別れの日が来る。プロキンは今すぐにでも戦争が終わることを祈っている。 |