マラジジ【1】
「フクロウしゃん、薬草はあつまりましたか?」 舌ったらずな声でマラジジは使い魔に話しかけた。以前は、もう少し大人びた声が出せたが今ではこうだ。魔法工房の事故で大爆発に巻き込まれ、それから毎日、少しずつ肉体が若返るようになってしまった。 |
マラジジ【2】
「つぎはネズミしゃん、尻尾をちょっとだけ切らせてくだしゃい」 もともとマラジジはかなりの高齢のはずだが、例の事故以来は若返りを続け、今では幼女と呼ぶべき姿になっている。放っておけば胎児にまで戻り、のたれ死ぬ可能性も否めない。ゆえに、若返りの進行を止める薬を必死に研究していた。 |
マラジジ【3】
「もう少しで、オトナの姿に戻れるはずなのでしゅ」 蓄えていた知識は幸いにも消えなかった。むしろ若返りにより脳の働きは活発になったので、薬の研究は順調にいった。使い魔のふくろうやネズミも協力してくれている。あとは時間との戦いであろう。 |
マラジジ【4】
「ああっ!? 調剤台に背が届きましぇん、困りまちた……」 もう少しで目的の薬が完成するというところで、立ちはだかる高い壁。マラジジはこれを乗り越えられるのか? 森の仲間たちが固唾をのんで見守っている。 |