ラーズグリーズ【1】
「獲物はあの竜、か」 岩陰に潜みつつ、ラーズグリーズは洞穴の中を観察していた。翼の生えた飛竜が、奥まった場所で睡眠をとっている。仕留めるには絶好のチャンスだった。 |
ラーズグリーズ【2】
「まだだ、竜が起きるのを待つ」 ラーズグリーズがそう言うと、彼女をここまで案内した地元の男は驚きをみせた。確かにチャンスに見える。だが、洞穴に入ればおそらく飛竜は足音で目を覚ます。そうなれば、飛竜は逃げ場のない穴の中を炎のブレスで満たし、ラーズグリーズを青いよろいごと焼き尽くすだろう。 |
ラーズグリーズ【3】
「起きたか、ずいぶんと待たせてくれたな」 飛竜は目を覚ました。案の定、腹が空いたのか、獲物をとるために洞穴から出て空へと飛び立とうとしている。それを見るやいなや、ラーズグリーズは大地を蹴った。飛竜が舞い上がりきるよりも早く、その上空に達する。 |
【魂の裁定者】ラーズグリーズ【4】
「いかな怪物といえども、頭上からの攻撃には耐え切れまい」 ラーズグリーズは飛竜の脳天に槍を突き刺した。飛竜は何が起きたのかもわからぬまま落ち、死を迎える。大地を跳躍し、天をしとめる。これがラーズグリーズのやり方だった。 |