ロラン【1】
「降参? いいえ、私は全力でやりますよ。たとえ相手が先輩であってもね」 ロランの通う騎士学校では年に一度、すべての学生が参加をする武闘大会が行われる。ロランたち一年生はおおかた一回戦で負けるか、勝っても上級生と当たったら自発的に降参するものとされている。だが、ロランはそれを公然と無視した。 |
ロラン【2】
「剣で勝てないからといって、馬に頼るのですか?」 ロランと剣をかわした上級生は、三合と打ち合わぬ間に馬を走らせて逃げ出した。武闘大会で使う馬は、上級生は若く血統の良い馬、一年生はくたびれ果てた老馬と暗黙のうちに決まっている。 |
ロラン【3】
「風よ、私へ敵の匂いを届けておくれ」 老馬を走らせて追うのは愚策だ。上級生は、きっと馬が疲れ果てたところへ襲いかかってくるだろう。ずる賢い彼らのやり方に対抗するため、ロランは独学で学んだ魔術を使った。一年生では習わない、難しい魔術だ。 |
ロラン【4】
「正々堂々、騎士としての戦いを!」 魔術を駆使し、上級生に勝利したロラン。上級生とその仲間たちは、まだ習っていないはずの術を使ったことに抗議してきたが、そんな小さな事にはロランは動じない。真の強さと誇りを持つものは、他の上級生たちの中にいるのだ。彼らと戦うべく、ロランは再び剣を抜き放った。 |