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人属性/LLR/坂田金時［祭］

Last-modified: 2018-03-15 (木) 02:12:41

坂田金時［祭］【１】

「うわっ、ｶﾋﾞてるじゃないか。日に当ててやらないとかわいそうだろ」
神社の倉に数百年間、鎮座していた大みこし。男衆が何十人がかりでも動かせなかったそれを、金時は軽々とひとりで動かした。美しい女性が秘めた大きな力を垣間見て、村人たちはあぜんとした。

「仕方がねえなあ。いいよ、あたしにまかせておきな!」
祭りの当日、村の男衆が総がかりでも大みこしは担げなかった。ところが金時は、ひとりでひょいっとそれを持ち上げる。男衆は申し訳なさげに、大みこしに肩だけ添えている。むしろ、ぶらさがっていると言っても過言ではなかった。

「おおっ、あたしに叩かせてくれるのか……!?」
祭りやぐらに掲げられた大太鼓。これを打ち鳴らすのは村の相撲大会で一位をとった男だ、と先祖代々決められてきた。だが、今年それを叩く役目は金時に決まったのだ。相撲などとらなくても、結果は目に見えていた。

「月を見ながら太鼓を打つってのも、ｵﾂなもんだねぇ」
夜空にあがった満月を眺めながら、やぐらの上で大太鼓を打ち鳴らす金時は実に上機嫌。村中に響く力強い太鼓の音色は、きっと村の厄をはらってくれるだろう。