獅子王【1】
「何だ小僧。あたしの顔に何かついてるか?」 少年騎兵は、女騎士の姿を物珍しげに見つめた。うわさには聞いたことがあった。東方から渡ってきた一族の子孫が、この騎士団に所属していると。 |
獅子王【2】
「見た目にはほとんど変わらないはずだがな…おかしなところがあるとすればコレだろう?」 女騎士が腰から抜いた剣は、片刃の美しい曲線を描いていた。彼女の家に先祖代々伝わるそれは『カタナ』という武器だそうだ。 |
獅子王【3】
「本来はプレートメイルを着て扱うモノじゃないんだがね……」 ほかの騎士たちと同じ騎士甲冑に身を包み苦笑する。刀は美しいが、確かにこの国の鎧とはどこかミスマッチにも見える。 |
獅子王【4】
戦いが始まると、女騎士の刀はたやすく敵兵の鎧を斬り裂いてしまった。繊細なフォルムからは想像もつかない剛胆さ。戦場で刀を手に華麗に戦う女騎士の姿に少年は思わず目を奪われた。 |