【万霊節】アリベク【1】
「私の奥義に興味があるのか? ふふ、いいだろう。特別に披露してやる」 アリベクは魔法陣を用いた戦術に長けた魔術師である。杖の先に魔力で生成したインクのようなものを垂らし、それをもって地に複雑な陣を描くことを得意とする。陣は複雑であればあるほど強力な術となり彼女を助けるのだという。 |
【万霊節】アリベク【2】
「魔法には様々な手段がある。私が扱うこれもまた、ひとつの手段にすぎない」 彼女が術の形成に用いるインクのようなものは、彼女の魔力そのものなのだという。淡く光を帯びた杖先が描く不可思議な文様は、徐々に力を増し、大きな魔力の塊となっていく。 |
【万霊節】アリベク【3】
「だが、使い手に適する手段というものは、必ず存在する。私にとってはこれだった……ただ、それだけのこと」 鮮やかに描き出された魔法陣は、魔力の弾丸となり、彼女の道を阻むものをなぎ倒す。そこにあるのは成功と失敗を繰り返し、ようやく辿り着いた「奥義」に対する絶対的な自信であった。 |
【万霊節】アリベク
「私が魔法陣を介し至った境地はここだ。貴様は、どんな手段をもってこの領域へ辿り着く?」 手段はひとつではない、という彼女の言葉は偽りではない。しかしアリベクが選んだ手段はひとつだった。それを選びとるまでに重ねた努力は如何ほどか。自信に満ちた表情の彼女に問うのは、やはり、愚行なのであろう。 |