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【万霊節】ゲティングズ【１】

「美しさは罪だｯ! 美しきは狂気だｯ! 閉じ込めねばならぬ、永遠に絵の中に封じねばならぬ!」
妄執に取り憑かれし魔術画家、ｹﾞﾃｨﾝｸﾞｽﾞ。彼女は『美しいものは絵に閉じ込めねば』と信じ込み、血走った目で描き続ける。彼女は、描いた者の魂を奪い取るという魔法を使う存在だった。

「美しいとは恐ろしい! 恐ろしい! ああ、ｷｬﾝﾊﾟｽの中に閉じ込めてしまわねば!」
美しさとは、恐ろしい。恐ろしいから、こうして絵に閉じ込めないといけない。恐ろしくてたまらないからｹﾞﾃｨﾝｸﾞｽﾞは寝ることもせず描き続ける。怯えながら、けれども恍惚とした表情を浮かべて。

「次だ……次を描かなくては……次を描かなくてはならない……」
ｹﾞﾃｨﾝｸﾞｽﾞは人間だ。けれどその妄執と狂気は悪魔のそれである。独り言が満ちるｹﾞﾃｨﾝｸﾞｽﾞのｱﾄﾘｴには、大量の美女の絵が積み重なっている。絵の中に閉じ込められた哀れな魂は、夜毎に震えて呻き声を漏らし続けた。

「嗚呼……美しさとは罪だ。大いなる罪だ。私はそれを許しはしない。私こそが美しさの断罪者だ!」
彼女が完成品を見返すことはない。なぜなら世界にはまだまだ美しさで満ちているからだ。休んでいる暇はない。こうしている間にも美しさが生まれ続ける。それのなんと恐ろしくも、素晴らしいことか!