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人属性/LR/【語部の巫女】シェーラザッド

Last-modified: 2018-03-23 (金) 07:08:18

シェーラザッド【１】

「それでは、良ぉくお聴きなさい。これより語る物語はｰｰ」
語り部巫女、ｼｪｰﾗｻﾞｯﾄﾞ。彼女は毎晩、物語を一つ、人々に読み聞かせる賢者である。沈黙、けれど満ち満ちた期待の眼差しの中、今宵もｼｪｰﾗｻﾞｯﾄﾞは分厚い書物を広げ、静かな声で語り始めた……。

「ｰｰ昔々、あるところに、それはそれは美しい騎士達がおりましたｰｰ」
すらすらと、まるで歌うように、ｼｪｰﾗｻﾞｯﾄﾞは美しい声で物語を紡いでゆく。伏せられた彼女の瞳はどこまでも神秘的な色を宿していた。その視線の先、広げられた書物の中身は、実は白紙なのである。

「ｰｰ騎士団は人･神･魔の三つの勢力のいずれにも属さぬまま、日夜繰り広げられる激しい戦いに身を投じｰｰ」
語り部巫女は、さも台本を読み上げるかのように白紙の書物を読み上げてゆく。彼女の頭の中には神託のように物語が降りてくるのだ。謎に満ちたそれを、ｼｪｰﾗｻﾞｯﾄﾞは語り続ける。

「ｰｰめでたしめでたし。さぁ、お話は終わりですよ。もうお眠りなさい」
話を締め括ると、ｼｪｰﾗｻﾞｯﾄﾞは顔を上げ聴衆へ向け微笑みを浮かべた。その声をもって、人々ははじめて我に返る。それほどまでに物語に引き込まれていたのだ。もっと話を。そうねだる者に、語りべの巫女は笑う。また明日の夜にね、と。