フォルケール【1】
「さぁさぁさぁ、そんなシケた顔してないで、歌でも聞いておくれ。お代は聴いてからで結構さ」 異国の弦楽器を軽快に掻き鳴らし、大戦を前に緊張をする騎士団の所へヒョッコリ現れたのは吟遊詩人騎士、フォルケール。重い空気に沈んでいた騎士達は「こんな時に歌など」と顔をしかめた。 |
フォルケール【2】
「さぁさ、とっておきを歌おうか。耳かっぽじってよーくお聞き。これは昔々の物語ーー」 春のように陽気で、夏のように明るく元気良く。軽やかな歌声と弦楽器で紡ぎだすのは物語。危険なドラゴンを退治する勇将の話。絶体絶命状況でも機転を利かせる、ちょっとシャレも入った痛快な物語。 |
フォルケール【3】
「こんな時だからこそ歌が必要なのさ。リラックスしないと本気なんか出せないよ?」 気付けば騎士団の誰もがフォルケールの歌に聞き入っていた。戯れ言に笑い声を上げていた。そして誰もが気付くのだ。いつの間にか緊張が吹き飛んでいたことに。フォルケールは、ただただ笑みを浮かべていた。 |
フォルケール【4】
「そうそう。お代はーー君の笑顔、ってことにしておこうかな。あははっ、いい笑顔だ」 フォルケールの語る物語は、勇敢な騎士でもある彼女が経験をしたものである。物語の主人公、彼女のように、常に冷静さを横に連れて勇猛に戦うべし。心地よく掻き鳴らされる弦楽器、騎士団の士気は最高潮だった。 |