ポルックス【1】
「剣の道は長く険しい。だが、それは常人の話だ。」 天才と呼ばれる剣士は大陸に数多くいるが、自ら天才剣士と名乗り、さらにその実力を信じて疑わない自信家となると数は多くない。ポルックスはそんな珍しい剣士なのだ。そして彼は一人の女戦士と出会う。 |
ポルックス【2】
「お望み通りに、但し俺は負けないぜ。」 ボルックスは天才剣士故に自分の剣を受け流すあの女戦士オズリックもまた天才だということを感じていた。これまで剣の道だけに生きてきた彼だったが、オズリックと剣を交えるごとに倒したいという気持ちとは別の感情が芽生え始めていることに自分自身が驚いている。 |
ポルックス【3】
「最初からそのつもりさ。」 ボルックスは気づいていた。オズリックの剣に殺意が無く、この戦いを楽しんでいると。そんな彼女と過ごしているこの一瞬が愛おしくてたまらなくなっていた。 |
ポルックス【4】
「俺はいつだって全力さ。」 天才同士には言葉に出さなくても、その剣を通して分り合える時がある。そして、目の前にいる女戦士が自分と同じ気持ちであることが彼に嬉しく思えた。しかし、ここは戦場……命を奪いあう場所。そして彼は願う、彼女が生きて英雄とならんことを…… |