ミスト【1】
「はっきりと見えるぞ、貴様らの動き」 真後ろにいる敵の動きすら見えているかのようにミストは動いた。素早い身のこなし、美しい動きで次々と剣士を打ち倒してゆく。彼女の周りには、常にうっすらと霧が立ち込めていた。 |
ミスト【2】
「どこにいても丸見えだ。貴様らの動きは、霧が教えてくれる」 魔術でもトリックでもなかった。彼女は霧の動きだけで敵の位置を読み、的確に相手の動きを把握しているのだ。見えるものにだけ頼って戦っている相手など、ミストにとっては敵ではない。 |
ミスト【3】
「鍛錬が不足しているようだな」 天性のカンの良さを活かした立ち回りを見せる相手でも、彼女の剣裁きの前に切り伏せられる。彼女の剣に派手さはない。だが、最小限の動きで確実に敵を仕留める。基礎鍛錬を途方もない時間積み重ねた上に生まれた一切の無駄がない剣技が、そこにあった。 |
ミスト【4】
「不意討ちか。……つまらないな」 ミストのこめかみに狙いを定めた迅速の矢は、彼女の一振りでその方向を変えた。物影から弩で攻撃をされても、霧の中にいる彼女には一切通用しない。攻防ともに隙のない熟練の剣士、それがオーディンと共に戦う美しき戦乙女・ミストだった。 |