ミルファク【1】
「この森は人間の入る場所じゃない」 なぜミルファクが神域の森に住みつくようになったのか。その経緯は誰も知らない。ただ、彼女が今や森の守り主になっていることは、神域の森に近づいたことのある者ならば、誰もが知っている。 |
ミルファク【2】
「森を守るのが私の仕事だ」 ミルファクは木の根から生まれてきたとする俗説がある。無論、彼女がそのような方法で生をうけたわけはないのだが、その話には妙な信憑性があった。それほどまでに彼女の身体能力は常人離れしていたのだ。 |
ミルファク【3】
「森に近づかなければ、危害は加えない。この警告を無視するのなら、容赦はしない」 ミルファクの両親は、豪傑で知られた騎士と某国の姫だった。しかし、身分が違う二人の結婚は望まれず、生まれた子どもは森に捨てられた。こうしてミルファクは森の賢人と呼ばれた古木たちによって育てられることになったのである。 |
ミルファク【4】
「私に流れるのは王家の血などではない。騎士の血でもない。森の血だ」 ミルファクは森で育ったことに誇りを持っていた。だから、彼女は森のために生きることを選んだのだ。女王にも騎士にもならず、彼女は今日も森にいる。 |