聖ゲオルグ【1】
「ドラゴン退治なら、この聖ゲオルグにお任せあれ。どんな龍であろうと倒してみせますよ」 龍殺し。聖ゲオルグの二つ名だ。勇猛な武勇伝に反して、彼女のなんと美しいこと。彼女こそが龍に囚われし姫君であると言われても、皆が納得するかもしれない。 |
聖ゲオルグ【2】
「お代は帰ってからで結構ですよ。さぁ、私が来たからにはもう大丈夫」 心配げな顔で依頼をしてきた者に対し、聖ゲオルグは慈愛に満ちた笑みを浮かべた。彼女は金銭の為に龍を狩るのではない。「ドラゴンを倒すため」に、ドラゴンを倒すのだ。彼女の装備は、たった剣一つ。けれど意気揚々、彼女は出発した。 |
聖ゲオルグ【3】
「さぁ!いきましょうーーアスカロン、出番です」 空をつんざく邪龍の咆哮。けれど聖ゲオルグは表情を崩さず、手にした剣、アスカロンを抜き放った。サイクロプスが鍛え上げた龍殺しの剣。邪龍の火炎を真っ向から切り払った彼女は、驚愕を浮かべた邪龍の喉首へとアスカロンを突き出し、刺し穿つ。 |
聖ゲオルグ【4】
「この世には数え切れないほどのドラゴンがいる。……ふふ、『龍殺し』を殺せるドラゴンに会ってみたいものですね」 ドラゴンを討ち倒した後、聖ゲオルグは妖しげに笑ってみせた。龍の伝説、龍を倒す英雄の伝説、人と龍、本当に強いのはどちらだろうか? それは彼女にとっては愚問に過ぎない。 |