吟遊詩人 マヤカイト【1】
「それでは一曲、ご披露いたしましょう」 酔客に請われて、吟遊詩人は歌い始めた。その美しい歌声は、たちまち酒場にいた全員を魅了した。 |
吟遊詩人 マヤカイト【2】
「吟遊詩人のマヤカイトと申します。以後、お見知りおきください」 鈴を鳴らすような声でそう言うと、マヤカイトは優雅に礼をした。 |
吟遊詩人 マヤカイト【3】
「さあ、もう忘れてしまいましたね。気づいた時には、もう旅をしていましたから」 これは、いつから旅をしているのかと聞かれた時の、マヤカイトの答えである。 |
吟遊詩人 マヤカイト【4】
「静まりなさい、荒ぶる獣よ」 マヤカイトが竪琴を奏でると、牙をむいて唸っていた狼はおとなしくなり、鼻を擦りつけ始めた。 |