デアドラ【1】
「わたくしに関わらないでください。貴方が不幸になります」 生まれながらに呪われた予言を受けたデアドラは、極力他人と関わらず、すでに滅びた街の中でひとり暮らしている・ |
デアドラ【2】
「......わたくしの望みは、誰も巻き込まず、余生を送ることなのです」 デアドラは目を伏せて、静かにつぶやいた。その声には、全てを諦めた響きが込められていた。 |
デアドラ【3】
「......よいのですか、わたくしがこのように、幸せを求めても」 度重なる求愛を受けて、デアドラは初めて顔を上げた。白皙の頬は、わずかに紅く染まっている。 |
デアドラ【4】
「連れて行ってください。貴方の望むところへ」 デアドラの顔に笑みが浮かぶ。それまで彫り物のようだった冷たい表情に生気が宿り、輝くような美しさとなった。 |