ダンスマスター マリィ【1】
「みんな、喜んでくれるかな?」 英雄の剣が祀られた神殿で、およそ似つかわしくない一人の少女が祈るように踊る。扇情的な衣装をまとい、死者を悼む妖艶な踊りを披露するのだ。 |
ダンスマスター マリィ【2】
「あっ……あの人、また来てくれてる……」 陣の最奥で慰安の為に舞う彼女の視線の先には、一人の兵士の姿があった。名前も知らない相手を前に、彼女の踊りは一層と熱を帯びる。 |
ダンスマスター マリィ【3】
「あたしの踊りが少しでも役に立つのなら……」 生きる歓びを全身で表現するかのようなダイナミックな踊りに、観衆は歓び、泣き咽び、安らかなる心地を感じる。魔法にも成し得ない力がそこにある。 |
ダンスマスター マリィ【4】
「どう? きれいでしょ。これが、あたし流の弔いよ……」 その日の彼女の踊りは、いつも以上に輝いて見えた。瞳からこぼれ落ちる涙が照明に乱反射し、優美に照らしていた。 |