ボールス【1】
「どうも胸騒ぎがするわね……。これは、もしかして!?」 アーサー王の活躍で平和が訪れたのも今はもう昔のこと。静寂の中を彷徨っていたボールスも、少しだけ焦りを感じていた。 |
ボールス【2】
「この剣、どうも落ち着きがないわ。血に飢えているような……」 もう何年も、その役目を果たしていない長剣を鞘から抜き出し、ボールスは沸き起こる焦燥感と戦っていた……。 |
ボールス【3】
「んっ!? この、風は……。そう……始まってしまったのね……」 草原を流れる風に、徐々に生温かい血の匂いが混ざってきた。ボールスは、自らを呼ぶ声を風の中に感じていた。 |
ボールス【4】
「捨てるものはない! この身一つ、私は戦うのみ!!」 あれだけ愛し続けた主は、もうこの世にいない。息を殺し、情けも捨て、ボールスは戦場を駆ける。戻れない、あの日のように。 |