イビュコス【1】
「良い風ですね。鳥達も喜んでいます」 イビュコスは、鳥と風と共に生きてきた民の次期族長である。彼女が歌によって鳥達と語らう姿は、まるで神話の女神のようだと人々は語る。耳を澄ませば穏やかな風に乗って、イビュコスの美しい歌声が聞こえてくることだろう。 |
イビュコス【2】
「この風と、鳥達の歌声を守ること。それが私の、役割です」 平和を愛する彼女が、その目に戦意を宿らせる時。それは集落と鳥の敵が現れた時だ。珍しい鳥を狙ってやってきたハンターの前に立ちはだかるイビュコス。その周囲では彼女の友である獰猛な怪鳥の群れが威嚇の声を上げていた。 |
イビュコス【3】
「何人たりとも、私達の平穏は邪魔させません」 鳥という鳥は彼女の良き友である。彼女の一族が神と崇める旧き神鳥もイビュコスには喜んで手を貸した。ハンター達は無数の嘴と鉤爪に散々にされ追い返される。イビュコスという門番を破り、集落へ辿り着いた不届き者は未だかつて存在しない。 |
イビュコス【4】
「嗚呼、なんて良い風ーーこんな平和が、ずっとずっと続けばいいですね」 巨大鳥に乗って空を飛ぶイビュコスは微笑んだ。青い空、緑の大地、美しい鳥の声。彼女の周りを嬉しそうに飛ぶ鳥達の綺麗な羽が太陽の光に輝いた。イビュコスが一番好きな光景。そして、それはこれからも彼女の手によって守られるだろう。 |