エニフ【1】
「ここの水は美しいでしょう。それは精霊が浄化しているからなのですよ」 精霊の森の奥の奥。そこには原初の精霊や妖精たちの住む泉がある。その泉を守るのが神官のエニフだ。 |
エニフ【2】
「この水が清らかである限りは、精霊たちは活力に満ちています」 泉の水には少しの濁りもない。それを確認し、エニフは今日も安堵のため息をつく。しかし、彼女はここ数週間、妙な胸騒ぎを覚えていた。 |
エニフ【3】
「これは……」 予兆は微かに、しかし確実に現れた。ほんのわずかな濁りは世界の危機を表す。大陸にかつてない邪悪が迫っている証拠だった。その日を境に、森から精霊の姿は消えた。 |
エニフ【4】
「精霊はこの世界の希望。このまま放っておくわけにはいきません」 エニフは旅支度を急いだ。泉の水の汚染は日に日に進み、いずれは森全体を腐らせてしまうだろう。彼女は精霊たちが帰ってくる場所を守るために、大陸を脅かす邪悪な存在を探す旅にでることにした。 |