ガートルード【1】
「高貴な血筋に生まれたことが幸運だなんて、王宮の権謀術数を知らない愚か者の発言よ」 ガートルードはとある王国の女王として君臨していた。だが、実際は『君臨』などという仰々しい言葉は正しくない。彼女は女王としてつるし上げられていたと言うべきだろう。 |
ガートルード【2】
「富と名誉、そして権力はあらゆる邪悪を引き寄せます。いつだってその中心地は王宮なのよ」 ガートルードは人間を信用したことがない。父も母も忠臣たちも、いつだれが裏切るか分からない。彼女が信用できるのは自分だけなのだ。 |
ガートルード【3】
「王宮では強いものがだけが生き残れる。それは、力の強さではないわ。頭の強さと、心の強さよ」 ガートルードは都合のいい傀儡だった。少なくとも、大臣たちはそう考えていた。彼女の心の中も知らずに、彼女を暗愚な女王だと思い込んでいた。だが、やがて彼らはそれが間違いだったと思い知らされる。 |
ガートルード【4】
「今日から、ここは本当に私が信用できるものだけが住まう王国となるのよ」 ガートルードは天使と恐るべき契約を交わしていた。彼女は無条件の信仰と引き換えに、心を持たぬ鉄騎隊を天界から借り受けていた。ガートルードの命令だけを忠実に守る鉄騎隊は、国中から信用に値しない人間を追放していく。間もなく、この国に残るのはガートルードだけになるだろう。 |