プローテュース【1】
「今年の渚の姫は私がなるんだから」 大陸南部の常夏海岸。そこで毎年開かれるのが『渚の姫コンテスト』である。海の神に愛された者がチャンピオンであるに渚の姫に選ばれるのだ。プロテュースはこのコンテストに毎年出場していた。 |
プローテュース【2】
「海の神は美しい女性を好むという……今年はこれまで以上に美容に気を付けてきたんだからッ!」 渚の姫に選ばれれば、海の神の祝福を得られる。それは一生海難事故にあわないことを意味する。海の民であるプローテュースにとって、それは何よりもうれしい加護だった。 |
プローテュース【3】
「あれ……あの人、もしかして!」 渚の姫コンテストは海上で行われる。エントリー者はそれぞれ一人で小舟に乗り、沖合で海の神に対して自らの美しさを披露する。そんな審査の中、一艘の船が大きな波にのまれ転覆した。こともあろうに、その船に乗っていた女性は泳ぐことができないらしく、彼女は海の底へと沈み始めた。 |
プローテュース【4】
「ああ、もう!今年は諦めて、来年にかけるわよ!」 審査中に海に入ることは、海の神への冒涜にあたるとされる。しかし、プローテュースは溺れる女性を助けるために、ためらいなく海中に飛び込んだ。海の神はその冒涜に怒り、二人をそのまま海岸へと押し流してしまった。 その年の渚の姫に選ばれたのは、最も美しい心と輝く勇気を持った女性だったという。 |