【春女神】ゼピュロス【1】
「アネモネは目を覚まし、まつ毛から愛の涙をこぼす」 遠くから西風に乗って歌声が聞こえてきた。まだ野原は肌寒い。だがあの歌が聞こえて来たということはゼピュロスが春を告げにやってきたということだ。 |
【春女神】ゼピュロス【2】
「桜は舞う、華やかなる祝福の踊りを」 その歌とともに、華やかな衣装をまとった女神が野原に姿を現した。女神が舞うと優しい風が吹き、草木は皆、花を咲き誇らせた。 |
【春女神】ゼピュロス【3】
「うさぎたちは衣を、鹿たちは髪飾りを変える」 女神の歌とともに白かったうさぎの毛が褐色を帯び、鹿の角は新たに生え変わった。獣たちは皆、女神のそばに集まり、ともに舞い踊る。 |
【春女神】ゼピュロス【4】
「人の心は躍る、春の踊りとともに踊る」 女神の舞を見る人々の心は湧き立った。長く厳しい冬が終わり、これから春が訪れるのだ。女神は踊りながら北へと向かい、やがて地上すべてに春をもたらす。 |