幻想のミネルバナイツ Wiki*

【秋節】バステト【１】

「はぁ……、息をするのも面倒だわ……」
ﾌｧﾗｵの守護者にして、家の守護者である女神ﾊﾞｽﾃﾄ。その真の姿は、ただただ自由気ままに過ごす、自由奔放な神である。今日も日の当たる場所に寝転がり、他者にはばかることなくあくびをしてみせる。その立ちふるまいは、まさにｲｴﾈｺのようであった。

「異常なｰし。はい、今日の分のお仕事はおしまい」
彼女の愛らしさは、人々から無償の愛を受けるに値するものだった。ゆえに古の時代より、ﾊﾞｽﾃﾄはこのように怠惰な生活を続けている。今日も彼女は贅沢三昧ｰｰもっとも、ﾊﾞｽﾃﾄにとっての『贅沢』は、日がな一日のんびり過ごすことでしかないのだが。

「よきにはからえ。ささ、奉仕したまえ」
ごろごろと寝転がったまま、神官に身体を揉みほぐされてﾊﾞｽﾃﾄはご満悦だった。こんなにも自由気ままな存在なのに、それでもﾊﾞｽﾃﾄが多くの人々から愛され続けているのは、実際に神として古よりﾌｧﾗｵと家を守護してきたからか、その愛嬌からか。

「ん~~~……明日はなにをしようかなぁ……。ま、明日考えよｰっと」
今日も、昨日と変わらない一日。きっと、明日も今日と変わらない一日。それがﾊﾞｽﾃﾄにとっては愛おしく、何よりの宝物。温かい布団で丸くなりながら、女神は猫耳をﾋﾟｺﾋﾟｺ揺らした。やがて聞こえてくるのは、安らかな寝息である。