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神属性/LLR/【転生】ヘルヴェティア

Last-modified: 2018-03-07 (水) 14:18:50

【転生】ヘルヴェティア【１】

「戦は、この地にふさわしくありません」
美しい山々と木々に囲まれたこの地には、一人の女神が住んでいた。槍と盾とを携えた戦神として伝えられる彼女だが、意外にも戦いは好まないという。ﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱは平和を愛する女神だった。

「どなたでも歓迎いたしますわ、お茶をどうぞ」
ﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱのもとへは、地域の人々がよく訪ねてくるという。最初は女神とあって畏まっていた人々も、ﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱの人柄に触れ、今では気軽に茶飲み話をしに来るようになったのだ。

「兎さんは林檎をいかが? 熊さんにはいいお肉をとっておきましたのよ」
野にある獣たちまでもが、ﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱの所へ遊びにきた。慈愛深いﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱの膝元では、獣たちも弱肉強食の摂理を忘れ、ともに戯れ、安らぎ眠るという。

「この景色が永遠に続けばいいのに」
その願いが叶わないことはﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱが一番よく知っている。雪化粧を施された山や、緑生い茂る森も、いつの日か戦火にまみれ、あるいは星と共に滅びる。だがその日が来るまではｰｰﾍﾙｳﾞｪﾃｨｱは人々と茶を酌み交わし、動物たちと歌を奏で続ける。