アウロラ【1】
「アンニュイな女は魅力的だというけれど……」 そう言ったアウロラは、再び自分の映った鏡に視線を向けた。退屈をすると、それに悩む自分の顔を眺め、見とれる。この繰り返しだ。永遠に近い時を生きる女神だけに、やりたいことは大抵やりつくしている。最近の楽しみは、すべてに飽きた自分の顔を眺めることだ。 |
アウロラ【2】
「ただ眺めるにしても、ひとりよりはふたり……かしら、ね」 鏡の中のアウロラは確かに美しい。だが、隣に誰かがいたら、より絵になるのではないだろうか。恋は刹那の時間に終わってしまうとしても、もっとも素晴らしいその時間を絵にすれば、永遠に思い出を残すことができる。 |
アウロラ【3】
「どこかにいないかしら、私の心を震わせてくれるような、ステキな男の子」 人間界に出て、アウロラは恋の相手を探しはじめた。人間は、アウロラから見れば一瞬で歳をとり、死んでしまう刹那の存在だ。だが、それでもいい。一瞬でも素晴らしい恋ができれば。 |
アウロラ【4】
「あの子、目がかわいいわね……ああ、お料理も上手そう」 目にとまった男を見つめ、アウロラはつぶやく。どう声をかけ、どう恋に落ちていくかを妄想しているのだ。愛は退屈な日々に大きな楽しみを与えてくれるが、失う瞬間の悲しみも大きい。後悔のない愛を得るために、アウロラは時間をかけて愛を探すのだ。 |