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神属性/LLR/タナトシア

Last-modified: 2018-03-05 (月) 02:18:22

タナトシア【１】

「なぜおびえる? 私がいざなってやろうというのに」
手招きする美しい女に、戦士たちは身構えた。女からは強烈な死の香りがする。歴戦の戦士たちにとって、それは予感などではなく、ﾊｯｷﾘとした確信だった。

「受け入れればいい。素晴らしいぞ、それだけですべての苦しみから解き放たれる」
女の唇が誘惑するかのように動いた。この女が称賛しているのは死だ。死によって、人が遭う難事のすべてから解き放たれると戦士たちに説いているのだ。

「私が狂っている、だと? 違うな、私の言葉はすべて真理だ」
女の言葉を耳に入れず、この場を立ち去ろうとする戦士たち。女は冷たく笑った。人間の頑迷さと、愚かさを笑った。

「ほぉら、本当だっただろ?」
女が呪文を唱えた。だが、なにも起こらない。炎や雷が巻き起こるわけでもなければ、恐ろしい怪物が現れるわけでもなかった。戦士たちはそこに立ったまま永遠に動きを止める。その姿は、女の説いた死の素晴らしさに、無言で肯定しているかのようにも見えた。