イシン【1】
「最初に作ったものだから、錆びてきてるわね」 青銅のゴーレムはきしみながらも動き始めた。 全身の歯車が廻ると、辺りに錆が落ち始める。 動き出した巨人の足が、魔物たちを踏みつぶし始めた。 |
イシン【2】
「手堅い出来栄えだけど、面白みには欠けるわね」 鉄のゴーレムは、魔物からのあらゆる攻撃にも揺るがなかった。 その鉄腕が鈍重ではあるものの、大胆に振るわれる。 魔物たちは、構えていた盾ごと鉄の一振りに吹き飛ばされ、壁に激突するのだった。 |
イシン【3】
「性能は健在だけど、くすみ始めたのが気になるわね」 白銀のゴーレムは、やや曇った白銀の剣を携えていた。 その動きは、青銅のものに比しても滑らかで無駄がなく、効率的に魔物たちを斬り裂いていった。 |
イシン【4】
「傑作ね、美しすぎるのが欠点かしら、稼働させるのが惜しいわ」 黄金のゴーレムは創り主たるイシンに称賛されるだけあって美しく、優雅だった。 太陽色に輝くその巨体が動くたびに、魔物たちは陽光に責められた吸血鬼の如く息絶えてゆき、やがて全てがその姿を消すのだった。 |