テシュブ【1】
「大空の秩序を守ること。それが天空神たる私の使命」 大いなる天空の神、嵐の神。それが偉大なる女神にして、数多の神を従える上位神テシュブ。いつ造られたのかも定かではない古い旧い神殿の奥、空が見える神の間にて、テシュブはいつも空を見守っている。こうして空を見ている時が、女神の至福の時である。 |
テシュブ【2】
「このテシュブ在る限り、空から色は失わせませんわ。……絶対にね」 昼の青さも、夕方の赤さも、夜の黒さも、どれもテシュブにとっては愛おしい。空はこの世界の半分だ。残り半分は大地である。そんな世界の半分を守る使命が彼女にはある。テシュブは、空を穢す者を決して赦しはしない。 |
テシュブ【3】
「身を以て知りなさい。『世界の半分』を穢す罪が、どれほど重いかを」 人間であろうと、悪魔であろうと、神であろうと。空を穢す者が現れた時、テシュブは神殿から現れる。『世界の半分』を穢した者を罰する為にだ。忌まわしき煙で空を汚す愚かなる帝国。それを、女神は静かに見下ろしていた。 |
テシュブ【4】
「私は天空神。空が万物に平等なように、私も全てに平等です」 終わりは一瞬だった。テシュブが両手を広げれば、闇よりも暗い色をした雲が空一面を覆い尽くした。途端、雨の如く降り注ぐのは何千条もの稲光。堅牢なる要塞をも吹き飛ばす暴風。ーーそして『嵐』が消えた頃、そこには何も残ってはいなかった。 |