ブリギッド【1】
「美しい金属細工には命が宿るものよ」 ブリギッドは金属細工を司る炎の神である。彼女が作り出す作品は、特別な魔力を放ち、生命すらやどしている。そんな彼女の技にどんな秘密があるのか、知る者は少ない。 |
ブリギッド【2】
「私は炎の女神。火には魔力を込めることもできるの」 ある者はブリギッドの炎を疑った。その魔法の炎にかざされた金属は、命を持つのではないのか。そう疑ったのである。しかし、ブリギッドの炎にそのような力はない。いかなる金属をも溶かす、恐ろしいほどの火力を持つだけだ。 |
ブリギッド【3】
「これは普通の金属よ。何の秘密もないわ」 ある者はブリギッドの持つ金属を疑った。しかし、それもやはり普通の金属だった……少なくとも見た目は。ブリギッドが金属を『採掘』するその瞬間にこそ、彼女の金属細工最大の秘密があったのだ。 |
ブリギッド【4】
「無から生命を作り出すことはできない。生命をつくることができるのは生命だけよ」 ブリギッドは魔族の魂を金属へと変換する。彼女が作り出してきたあらゆる金属細工は、魔族から生み出されたものだったのだ。 金属細工の輝きの中に見える微かな憂いは、永遠に自由を奪われた悪魔たちの怨念だったのである。 |