ヤクシャ【1】
「血の匂い……ああ、とても懐かしい香り……」 神々しい姿をしているものが、必ずしも聖なる心を持っているとは限らない。神域に住まうヤクシャの心は常に血に飢えている。美しい外見とは裏腹に、彼女の抱える闇は深い。 |
ヤクシャ【2】
「早く戦争が始まらないかしら……敵の悪魔ならば、どんな仕打ちをして構わないのだから」 ヤクシャの精神は常にぎりぎりの均衡を保っている。血肉を欲するおぞましい面と、それを抑える聖者の面。しかし、そのバランスが少しずつ崩れ始めていた。 |
ヤクシャ【3】
「敵が現れたですって?……ようやく私の渇きが潤されるわ」 神域に踏み込んだ悪魔たちにどのような意図があったのかは分からない。迷い込んだのか、使者として訪れたのか、その真実を知る術はもうない。彼らはヤクシャによって何かを語る前に葬られてしまったのだから。 |
ヤクシャ【4】
「私は血で血を洗うような戦いを求めているの。お願いだから私に敵をちょうだい」 ヤクシャの悪魔殺しは大きな問題になった。天使の審問官がヤクシャを拘束するために遣わされた。しかし、この事態はヤクシャにとってこの上なく幸福なものだった。彼女にとっての新たな敵が明白になったからだ。これから始まる神域の神々を相手にした戦いに、ヤクシャは興奮を抑えきれなかった。 |