ヤヌス【1】
果てしない荒野の片隅に一組の家族が小屋を建て始めた。その様子を天上より見守るもの、ヤヌス。彼女はこの家族の小さな一歩が、やがてどこへたどり着くかを知っている。 |
ヤヌス【2】
荒野に建てられた一軒家は、人を招きよせ、やがて小さなひとつの村をなした。そこで営まれる誕生と、愛と、死。その命の螺旋は歴史となり、村を少しずつ大きくしていく。 |
ヤヌス【3】
「にぎやかね、いろいろな出会いがあるわ」 村は百年の時を経て大きな都市となった。いつでも誰かの声が響き、夜でも明かりが途絶えることはない。そして、ここに最初に家を建てた人々のことを覚えているものは、もう誰もいない。 |
ヤヌス【4】
成熟した都市は、やがて戦争を招いた。家々は焼き払われ、美しい都は荒野へ化した。だが、ヤヌスは知っている。この都市から多くのものが世界へと旅立ったことを。そして彼らの子孫の一人が、ここへ帰ってきて一軒の小屋を建て、再びすべてが始まることを。 |