ヴォロス【1】
「豊かな生活を望むのなら、私と共においでなさいな」 金銀財宝を司る神ヴォロスは人々に富を与える。彼女を信奉する商人たちは、ヴォロスのために巨大な神殿をつくり、立派な祭壇を築いた。 |
ヴォロス【2】
「私がどれだけ富を与えても、人々の中には貧しいものがいる……なぜなのかしら」 ヴォロスの周りの商人たちは、彼女の力により大儲けをしていた。ヴォロスはそうして得た富が、貧しいものにも与えられると考えていた。しかし、商人たちは自らの財宝を決して他人に渡そうとはしなかった。 |
ヴォロス【3】
「なぜ私を巡って争いが生まれるの?私はすべての人々に豊かになってほしいだけなのに」 人々に富を与える女神の噂は広まり、やがて女神を奪い合う戦争が起こった。ヴォロスは心を痛め、人々に富を与えなくなった。 |
ヴォロス【4】
「人々に必要なのは富ではない。彼らに必要なのは、人を思いやり、助け合う力だったのよ」 ヴォロスは富の神であることをやめた。彼女は人々に財宝を与えるのではなく、優しさを教える神となった。人の心は、金貨に負けないほど美しく輝くと、彼女は信じている。 |