アヌ【1】
「雲の上は退屈ねえ。お出かけしようカシラ」 豊穣の女神アヌは、神々の中でも一、二を争う奔放な神である。時には地上に降りて、人間たちと交流を深めることもあるという。 |
アヌ【2】
「それにしても暑いわねえ、下の世界は」 警戒心のかけらもない振る舞いに、地上の人間たちはとまどう。しかしアヌは、そんな奇異の視線など気にも留めない。 |
アヌ【3】
「よう、お嬢ちゃん。ずいぶん挑発的じゃないの」 人相の悪い男たちがアヌに寄っていく。それでもアヌは慌てた様子も見せず、ただ笑顔を浮かべている。 |
アヌ【4】
「あれえ、もう終わりなの? つまんないなあ」 男たちを一撃の下に片づけて、アヌは不満げな顔を浮かべた。やはり人間ではアヌの相手を務まらないようだ。 |