ゲルズ【1】
「今日は誰かと会う気分じゃないの。帰ってくださるかしら」 神界でも一、二を争う美貌を持つゲルズ。だが彼女の心を射止めた者は未だいない。 |
ゲルズ【2】
「誰も彼も、わたくしの顔のことばかり。他の所には見向きもしない」 屋敷の奥に籠もり、ゲルズはため息をついた。ため息で生まれた微風でさえも、男達は競って浴びようとするだろう。 |
ゲルズ【3】
「宝石も花もいらない。共に麦を育ててくれる人がいい」 ゲルズは一新に、麦の種籾を袋に詰める。来年には、この麦は大地に蒔かれて、動物たちの飢えを満たすだろう。 |
ゲルズ【4】
「やっと本当のわたくしを見てくれる御仁が……」 ゲルズが笑みを浮かべると、辺りに暖かな光が満ちる。光は、周囲の空と海を照らし、そこからは多くの植物が萌えだした。 |